病名と症例

DISEASE

眼瞼下垂

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眼瞼下垂について

◆眼瞼下垂(がんけんかすい)とは

 さまざまな原因により、瞼(まぶた)が下がってしまう状態です。
原因としては、①先天的なもの、② 後天的なもの、③その他・特殊なもの、に分けられます。
① 先天眼瞼下垂とは、生まれつき瞼を上げる筋肉(上眼瞼拳筋)の力が弱いために 起こるものです。
② 後天眼瞼下垂には、動眼神経麻痺やコンタクトレンズによるもの、外傷や内眼手術後に起こるもの、重症筋無力症やホル ネル症候群など他の疾患に伴ってくるものなどがあります。しかし最もよくみられるのは、老化によって筋肉の働きが弱くなる老人性眼瞼下垂です。


◆検査・診断

眼瞼下垂が軽いうちは見た目・美容上の問題で済みますが、下垂が進むと上眼瞼が瞳孔にかかり視界を遮るため、瞼を引っ張りあげな いと物が見えなくなってきます。
また瞼を挙げようと常に筋肉が緊張し、慢性的な頭痛や肩こりを引き起こしてくることもあります。そのため手術で 瞼を挙げる必要がでてきます。
① 先天眼瞼下垂に対する手術の時期は、下垂の程度、両眼性か片眼性か、視力の発育状態(弱視)、年齢などを考慮して決定します。
② 後天眼瞼下垂については、まず原因を調べ、その治療を行った後、症状が固定したもの(およそ6ケ月)について、下垂の程度を考慮したうえで手術を行います。

 

◆治療

眼瞼下垂の治療は手術になります。
手術では、皮下組織に注射で局所麻酔をし、眼緑から5~7mmのところで瞼に沿って皮膚を切開し皮下組織を剥離して、瞼を挙げる筋肉を出します。
下垂の程度にあわせ、筋肉を縫い縮め縫着し、瞼の上がり具合を確認・調整したあと、皮膚連続縫合で手術を終了します。

術後は一晩、眼帯をします。翌日診察して問題なければ眼帯をとりますが、瞼の腫れや角膜の状態によって、数日装用することもあります。
皮膚縫合の抜糸までの約1週間は、洗顔・洗髪を控えていただき、抗菌・消炎剤を点眼します。手術は入院のうえ手術室で行っています。手術時間は30分程度です。
当院では主に、前記した、挙筋前転術(タッキング)を行っています。

 

  • 右眼術前
  • 右眼術後

また主な副作用・合併症については、瞼の腫れや皮下出血、眼を閉じにくくなることがあげられます。
① 眼瞼腫脹・皮下出血
瞼は皮膚が薄く血管が豊富なため、術後は腫れたり、皮下出血による青あざができたりすることがあります。通常、腫れは1週間で改善します。
また術後の効果は約1ヶ月で安定し、皮膚切開のあとも瞼の皺や二重に沿って、わからなくなってきます。
② 兎眼(とがん)・角膜障害
目が完全に閉じなくなり、薄目が開く状態です。
下垂の手術で瞼を挙げた結果、兎眼になることがあります。その場合は角膜
が乾くのを防ぐために、主に寝る前に眼軟膏を使用します。日にちとともに治まってくることがほとんどです。