病名と症例

DISEASE

網膜硝子体

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網膜中心静脈閉塞症について

 

◆網膜中心静脈閉塞症とは

 眼底出血の原因でもっとも頻度が高いのが網膜中心静脈閉塞症です。網膜閉塞症は、眼底の静脈が血栓でつまり、そのため血管が破れて出血を起こした状態です。出血の部位によって視力障害の程度は様々ですが、通常視力は完全には回復しません。この病気は、目の卒中ですので、気長に治療します。

◆網膜中心静脈閉塞症の症状は下記の二期で異なります。


  (1)出血後初期・・・出血後の初期には、出血した部分が霞んで見えるようになります。特に、出血が眼底の中心の黄斑に及んだ場合は、強い視力低下をきたします。

  (2)出血後後期・・・出血後に時間が経つと、傷んだ網膜に新生血管ができます。新生血管が破れると、目の中の硝子体中に出血するため、急に全体が見えなくなります。また、緑内障を引き起こす場合もあります。眼底出血による緑内障は、手術も効果がうすい悪性の緑内障です。さらに、視力改善は、網膜の黄斑の後遺症の程度によって決まりますが、通常完全に回復することはありません。

◆検査・診断

眼底写真、光干渉断層計(OCT)、フルオレセイン蛍光造影にて診断します。

◆治療

  (1)出血後初期・・・出血後初期は、①つまった血管を再開させるための点滴と②黄斑部の浮腫を吸収させる点滴をします。同時に出血や浮腫を早く引かせる多目的でレーザー治療を行います。ただし、レーザーは黄斑部にあてることはできません。その後、レーザーした部分の出血は1~2か月で引きますが、レーザーのできない黄斑部の出血が引くには1年以上が必要で、視力改善に時間がかかります。

  (2)出血後後期・・・出血後後期には、傷んだ網膜に新生血管ができたり、緑内障の原因となったりします。そこで後期にはこれらを予防するために再度レーザーの追加が必要になります。また、硝子体出血を起こした場合は、手術が必要になります。