medical consultation診療案内

日本では成人の約3人に1人は
脂質異常症が疑われるといわれています。

脂質異常症は血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が高い、HDL(善玉)コレステロールが低い状態のことをいいます。コレステロールは脂質の一つでホルモンの原料になったり、細胞膜を作る、脂肪の吸収を助ける、といった働きがあり、中性脂肪はエネルギー源として働きますが、過剰になると体に障害をもたらします。

特に女性は閉経前後になると、血管壁にコレステロールが蓄積するのを防ぐエストロゲンという女性ホルモンが減少するため脂質異常症が発症しやすくなります。また糖尿病があったり喫煙する女性は男性より心筋梗塞にかかりやすいといわれています。脂質異常症になるとコレステロールが血管内にたまり、血管の中が狭くなります。脂質異常症を放置していると心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすくなりますが、自覚症状がないため自分ではなかなか気がつくことができません。高血圧と同様サイレントキラー(沈黙の殺人者)と呼ばれています。

脂質異常症セルフチェック

下記の項目に3つ以上当てはまる方は当院の受診をおすすめします。

  • 家族に脂質異常症や動脈硬化症の人がいる
  • 肥満傾向である
  • お酒をよく飲む
  • 甘いものや乳脂肪製品、果物が好き
  • 腎臓病、甲状腺機能低下症などにかかっている
  • 日頃、あまり運動をしない
  • 糖尿病である。あるいは血糖値が高めだといわれた
  • 高血圧症と診断されている
  • 痛風がある
  • 女性で閉経している

脂質異常症に関しては「よくあるご質問」のページも合わせてご覧ください。

よくあるご質問

症状

脂質異常症には、これといった自覚症状のようなものはほとんどありません。

原因

先天的な異常のために脂質異常になる人がいますが、多くの場合、遺伝的な体質を背景に、食生活の乱れなど環境的な要因が加わって発症します。

検査・診断

脂質異常症と診断される基準値 (空腹時採血)※

LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
  120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症※※
HDLコレステロール 40mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150mg/dL以上 高トリグリセライド血症
  • ◆LDLコレステロールはFriedewaldの式(TC-HDL-C-TG/5)で計算する(TGが400mg/dL未満の場合)。
  • ◆TGが400mg/dL以上や食後採血の場合にはnon HDL-C(TC-HDL-C)を使用し、その基準は
    LDL-C+30mg/dLとする。
  • ※10-12時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし、水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。
  • ※※スリーニングで境界域高LDLコレステロール血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。
  • ※日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年度版引用

治療

脂質異常症の治療の基本は食事療法と運動療法による生活習慣の改善です。

食事療法のポイント
1.
適切なエネルギー量を守る。
2.
1日3食、栄養分にかたよりがないようにする。
3.
蛋白質は肉類を少なめにしてEPA・DHAが多い青背の魚類(さんま、いわし、さばなど)や大豆製品(豆腐、大豆、あずき、そら豆など)を中心にする。
4.
食物繊維の多い穀類、緑黄色野菜、海藻(昆布、わかめ、ひじきなど)を十分にとる。
5.
抗酸化物質を含む食品をとる。きのこ(しいたけ、しめじ、まいたけなど)、ごま、果物(握り拳大1ヶ)、緑茶など。
6.
洋菓子や乳製品などをとりすぎない。
7.
食物油はしそ油、大豆油、オリーブ油、なたね油など、αリノレン酸やオレイン酸を多く含むものを中心にする。
8.
コレステロールを多く含む卵黄、肉・魚の内臓(レバー、丸干し、たらこ、いくらなど)、肉の脂身などをとりすぎない。
9.
夜遅い食事を避ける。
10.
早食い、ながら食い、まとめ食いを避ける。

効果不十分なときは患者様の病態にふさわしい薬物療法を選択しています。