病名と症例

DISEASE

斜視について

◆斜視とは

 左右の眼の視線がずれている眼位の異常を斜視といいます。
普通、斜視といえば、眼球の動きがほぼ正常であるにもかかわらず、左右の眼の視線がずれているもの(共同性斜視)をさします。
ほかに、眼球運動をつかさどる神経の麻痺や眼球を動かしている筋肉自体の障害によっておこる斜視(麻痺性斜視)があります。
眼位のずれの方向によって、内斜視外斜視上(下)斜視などがあります。
斜視には眼球を動かしている筋肉の渦動(下斜筋渦動症)を合併することがあります。

◆検査・診断

斜視の検査では眼球の動きや眼位のずれの方向、大きさを検査します。
眼球の動きを検査して、共同性斜視か麻痺性斜視か、また筋肉の渦動がないかどうかを診断します。
眼位ずれの方向で内斜視、外斜視、上(下)斜視を診断し、ずれの大きさをみて手術治療でどの筋肉をどの位手術するかを判断します。

◆治療

手術治療

眼球に付着して眼球を動かしている筋肉(眼筋)は内直筋、外直筋、上直筋、下直筋、上斜筋、下斜筋の6本です。
眼球表面の結膜を切開して眼筋を手術します。
眼筋を付着部で切断したのち、後ろにゆるめてつけたり(後転法)、前に強めてつけたり(前転法)して眼球の向きを変えます。
年齢や手術の内容により、全身麻酔か局所麻酔かを決めます。
また、術前検査の結果をもとにどの筋肉をどの位動かすのかを決めます。
手術での矯正効果には個人差があり、術前の予測より過矯正となったり(効きが強い)、低矯正になる(効きが弱い)ことがあり、再手術を要することがあります。
また、斜視の程度が強い場合には、複数回の手術を分けて行うことがあります。
  • 内斜視術前
  • 内斜視術後1日目(両眼の内直筋を手術しています)
  • 外斜視術前
  • 外斜視術後1日目(両眼の外直筋を手術しています)

眼鏡での治療

遠視に伴う調節性内斜視では眼鏡をかけることが治療の基本となります。
その他の斜視では眼の位置自体を矯正するには手術以外の方法はありませんが、眼の位置がずれているために複視を自覚している場合、ずれが大きくなければ複視が軽減するようにプリズム眼鏡で矯正できることがあります。
また、手術後に過矯正や低矯正となった場合にも、プリズムで残りの眼位のずれを矯正することがあります。