病名と症例

DISEASE

網膜硝子体

一覧へ戻る

糖尿病網膜症について

◆糖尿病網膜症とは

 糖尿病患者は全国で500万人以上にのぼり、今もなお増加しています。糖尿病は進行すると様々な合併症を引き起こしますが、特に糖尿病網膜症は成人の失明原因の第1位を占める重篤な合併症です。これは、長期間高血糖が持続したために、網膜の細小血管が弱くなる病気です。

 糖尿病網膜症は、その進み具合により大きく3段階に分けられます。

①単純期・・・眼底に小さな出血がみられるようになった時期で、視力はあまり低下しません。全身的な血糖コントロールが最も重要です。

②増殖前期・・・網膜の細小血管に閉塞が起こる時期で自覚症状は軽度でも、危険な状態に入っています。この時期には、増殖期への進行を防ぐためにレーザー治療を行います。網膜症はこの時期を見逃さないことが治療のポイントです。

③増殖期・・・網膜に新生血管(破れやすい血管)や増殖組織ができた時期で、飛蚊症や視力障害などを自覚するようになります。ここまで進行するとレーザー治療だけでは完治が難しく、手術が必要となることが多くなります。手術で硝子体の濁りや網膜剥離は60~70%治りますが、完全な視力の回復が難しいのが現状です。

◆検査・診断

眼底検査、及び光干渉断層計(OCT)、フルオレセイン蛍光造影(FAG)にて診断します。

◆治療

①レーザー光凝固治療

 レーザー光凝固は、レーザー光線をあてて傷んだ網膜を萎縮させ、網膜症の進展を防止する治療法です。症状により、治療は数回に分けて行いますが、1回の治療時間では、約10~15分程度です。特に当院では、視力低下を防ぐためにゆっくりと適切に行うように注意しています。レーザー光線は予防治療で、視力を向上させるわけではありませんが、網膜症の進行をふせぐために不可欠な治療です。

②硝子体手術

 硝子体出血や網膜剥離のような進行した状態には、硝子体手術を行います。新生血管から出た血液を取り除いて出血源の病巣をレーザーで凝固したり、剥離した網膜を元に戻す手術です。