medical consultation診療案内

甲状腺疾患

【甲状腺疾患の初診の方】
受診前に当院までお電話ください。

甲状腺の病気は、ゆっくりと進行するので
とても気づきにくい病気です。

甲状腺の病気は女性に多くみられる病気で、成人女性の7人に1人程度みられます。妊娠や出産を契機に発症することが多く、育児ノイローゼなどの原因になっていることもあります。自律神経失調症や更年期障害と間違えられている場合もありますが、甲状腺の病気はゆっくり進行し、症状も急激な変化が現れないことが多いので気づきにくいのが特徴です。甲状腺の病気の診断がつき治療をきちんと受ければ見違えるほど元気になります。

林内科クリニックでは、甲状腺専門医により、的確かつ迅速な診療を行っています。このページを見て少しでも不安に思った方は積極的に受診されることをおすすめします。

甲状腺疾患

甲状腺疾患セルフチェック

下記の項目に3つ以上当てはまる方は当院の受診をおすすめします。

  • 甲状腺機能亢進症
  • 暑がりである
  • 汗かきである
  • 動悸がする
  • 首が腫れている
  • 体重が減少した
  • 甲状腺機能低下症
  • 寒がりである
  • 皮膚がかさかさしている
  • むくみがある
  • 便秘がちである
  • 物忘れが多くなった

甲状腺疾患に関しては「よくあるご質問」のページも合わせてご覧ください。

よくあるご質問

甲状腺機能亢進症バセドウ病

症状

バセドウ病の症状として3大徴候が知られています。それは、甲状腺腫、眼球突出、頻脈です。

甲状腺腫

触診しないとわからないものから一見してわかるものまで甲状腺腫の大きさはさまざまです。

眼球突出

自己免疫が甲状腺だけでなく、眼の周囲の組織に対しておこることが主な原因です。
眼球突出がおこる頻度は約30%程度です。普通は両眼に同程度に出現しますが時には片眼だけが突出してくることもあります。眼球や瞼の腫れ、結膜充血などがおこり、重症の場合は物が二重に見えたり、さらに失明することもあります。眼瞼後退以外の症状は甲状腺機能亢進症が改善しても必ずしも良くなりません。眼症に対しては眼科での専門治療が必要であり林眼科病院で治療をおこなっています。

頻脈

甲状腺ホルモン分泌が過剰になるため身体の新陳代謝が活発になりすぎ酸素の消費量が増加するため脈拍が増加します。悪化すると心不全をおこすこともあります。

原因

バセドウ病は自分の体を守るための免疫が、本来反応しないはずの自分の甲状腺に異常に反応してしまうことでおこる病気です。甲状腺にあるTSHレセプターに対する自己抗体(抗TSHレセプター抗体、TRAb)ができてしまい、このTRAbが甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰に作られるためバセドウ病になると言われています。
遺伝的な体質やストレスなどの環境要因が関係して、そのような免疫異常がおこると考えられています。ストレス、出産、花粉症など免疫反応が強くなるようなことがあると悪化します。甲状腺ホルモンの過剰が正常にもどれば体調は発病前の状態に回復しますが甲状腺機能を正常に維持するには内服継続を要する事も多く、また全く治療が必要なくなっても、再発の可能性が残ります。

検査・診断

血液検査

自分が抗TSHレセプター抗体を持っているのか、甲状腺ホルモンの量はバランスがとれているのかを調べることができます。

甲状腺超音波検査(エコー)

甲状腺がびまん性に腫大します。甲状腺周囲の血管や内部の血管が拡張しカラードプラーで豊富な血流シグナルを認めます。

治療

一般に甲状腺の機能を正常にもどす方法として以下の3つが挙げられます。

薬物療法

甲状腺ホルモンの合成を抑える薬(抗甲状腺薬)を内服します。日本では初めて治療する場合、約90%以上が薬物治療から開始されます。現在使用されている抗甲状腺剤はチアマゾールとプロピルチオウラシルの2種類があります。チアマゾールは胎児の器官形成器(妊娠8週まで)に服用している場合には稀に特殊な奇形(頭皮欠損、後鼻孔閉鎖症、食道閉鎖症など)がみられますので妊娠8週まではチアマゾールは避けたほうがいいといわれています。授乳に関してはチアマゾールは2錠以下、プロピルチオウラシルは6錠以下であれば乳児の甲状腺機能に影響はありません。妊娠後期には甲状腺機能が改善することがあり、その場合は内服量を減量することが可能ですが出産後に悪化することが多いので注意が必要です。抗甲状腺剤使用には、副作用のチェック、妊娠中の管理など専門的知識が必要であり当院では個々の患者様にあわせた最適な治療を選択しています。

放射性ヨード内用療法

放射性ヨード入りのカプセルを内服すると体の中で甲状腺に選択的に放射性ヨードが集まります。甲状腺に集まった放射性ヨードが徐々に甲状腺組織を破壊していきます。発癌性などの心配はなく治療後6カ月経過すれば妊娠も可能です。放射性ヨード内用療法が望ましい場合は連携先の甲状腺専門施設に紹介しています。

手術療法

甲状腺の大部分を切除して、ホルモンの分泌を少なくする方法です。甲状腺腫が大きい場合や副作用で抗甲状腺剤が使用できない場合、腫瘍を合併する場合、早く寛解を希望する場合などが主な対象となります。手術療法が望ましい場合は連携先の甲状腺専門施設に紹介しています。

甲状腺機能低下症橋本病

症状

初期の唯一の症状は首の腫れです。のどに違和感がある人もいます。橋本病の症状は甲状腺腫と甲状腺機能低下による症状が主なものです。

甲状腺腫

典型的な橋本病では甲状腺全体が硬いゴムのような硬さになり、大きく腫れてきますが殆ど目立たないものもあります。

甲状腺機能低下症

橋本病の4~5人に1人は甲状腺機能低下症を伴っており、この場合は皮膚の乾燥、寒がり、むくみ、 便秘がちといった症状が現れます。

原因

甲状腺にリンパ球が浸潤し、甲状腺に障害を与える自己抗体【抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)】が出現し、その結果甲状腺細胞が炎症をおこし破壊される疾患です。

検査・診断

橋本病の診断には、びまん性(甲状腺全体に広がっている状態)の甲状腺腫があることと同時に、甲状腺ホルモンの産生が高まっていないこと(バセドウ病ではないこと)の確認が必要です。

血液検査

自分が抗Tg抗体や、抗TPO抗体を持っているのか、甲状腺ホルモンの量はバランスがとれているのかを調べることができます。

甲状腺超音波検査(エコー)

甲状腺は腫大することが多いのですが線維化が進行してくると萎縮することもあります。内部の超音波が低下していたり不均一な場合は橋本病の可能性が高くなります。また悪性リンパ腫を合併することがありますので橋本病を疑った場合には超音波検査による悪性リンパ腫のチェックが必要です。

甲状腺超音波検査(エコー)

治療

不足している量の甲状腺ホルモンを薬として服用し、甲状腺ホルモンを正常化します。

甲状腺ホルモン補充療法

甲状腺機能低下がある場合は甲状腺ホルモン剤(レボチロキシンナトリウム)を服用して甲状腺機能を正常に維持します。甲状腺ホルモン剤は胎盤を通過しないので胎児に影響はありません。また治療のために内服する甲状腺ホルモン剤は母体に不足している甲状腺ホルモン剤を補充するだけですので、授乳は普通に行っても胎児に影響はありません。甲状腺機能が正常であれば特に症状は現れず治療の必要もありませんが、甲状腺機能低下症をおこす可能性のあるヨードを多く含んだ食品の取り過ぎには注意が必要です。また、甲状腺機能が正常な場合でも甲状腺腫が大きい場合には甲状腺腫の縮小目的で甲状腺ホルモン剤を内服することもあります。現在甲状腺機能が正常でも将来甲状腺機能低下症に進行する可能性がありますので、定期的に甲状腺機能検査を受けて下さい。甲状腺の腫れが急に大きくなってきたときは甲状腺機能低下症への進行の可能性と、甲状腺悪性リンパ腫発病の可能性があり、検査が必要です。